FC2ブログ
自分の中ではすっかり終わってしまった
この出来事も
文字にしようとすると
なかなか進まない。

時間が癒してくれるのは事実だが
同時に
記憶も薄れてきてしまう。

だからこそ
ちゃんと記録に残しておきたい。

ほんのわずかの時間でも
せっかく私のおなかの中に宿った
命だから。

そんなわけで、
クライマックス。
(長いので覚悟して読んでね)

茶色い下り物だったのが鮮血にかわり
夜、急いで救急外来に駆けつけた。
とりあえず
胎児がまだおなかにいることは確認できたものの、
簡易のエコー(超音波)の機械だったので
心拍の確認ができない、
そして、
血液中の妊娠ホルモンが私の週数にしては
低すぎる。

という心配が残った。

そして、
翌日、
もう一度病院に戻り
本格的な機械でエコーをとることに。

これで
全てが分かる。

半分は諦めていたが
半分は、
「な~んだ、何でもなかったのか」
を期待していた。

どちらかと言ったら
何かの間違いだったという期待のほうが
大きかったと思う。
わりと
気楽に病院に向かった。

エコーで一番きついのは、
検査の1時間前に水をたくさん飲んで
しっかり
膀胱を満タン状態にしておかなければいけないこと。

トイレを必死に我慢している状態に
機械でおなかをぐいぐい押される。
これを拷問といわずして
何といおうか。

エコーを受ける場所に到着すると
とっても感じの良いおばちゃんが
「こちらですよ」
と案内をしてくれた。
そして
薄暗い部屋に入ると
若いおねえさんが準備をしていた。

さっそくベッドに横になり
おねえさんが
ゼリーのついた手のひらサイズの機械を
私の膀胱満タン状態のおなかに
ぐいぐい押し付けた。

エコーの画像を見ながら
さっきのおばちゃんとおねえさんが
「これがあれでどーのこーの」
と話している。
あまりにも小声なので聞こえない。

そして、
おねえさんが、
「あなたの子宮の形だと
 このエコーでは見えにくいのよね。
 経膣だったら、確実に見えるんだけど、
 経膣超音波はやったことある?」

と聞いてきた。

私の子宮は後屈しているため
おなか上からだと
なかなか見えないらしい。
そして、
経膣超音波。
ものすごく遠慮がちにおねえさんが聞いてきたが
日本では
ごく普通の事じゃないだろうか?
妊娠初期に日本で産婦人科に行けば
有無をいわさず
経膣超音波検査をして
胎嚢や胎児の確認をする。

あまりにも
申し訳なさそうに
経膣超音波をしていいか聞いてくるので
こっちのほうがびっくりした。

どうやら、
プライベートな部分だし、
違和感もあるので
嫌がる人がいるようだ。

私は全然構いませんと答えると
さっそく
トイレに行かせてくれた。
子宮の入り口から直接エコーをあてるんだから
もう膀胱は関係ない。

すっきりとして
また暗い部屋に戻ると
またおねえさんが準備をしていた。

今度は
下半身裸になるので、
ガウンを着せてもらい
膝のところにタオルをかぶせ
プライベートな部分があらわにならないように
細心の注意を払ってくれる。

こういう気遣いが嬉しい。

そして
おねえさんが
ジェルを塗った棒を私の前に差し出し

「自分で入れる?」

と聞いてきた。

え!?

自分で入れるって????

私がここのベッドの上で
ジェルを塗ったこの棒を
自分の中に入れるって
ちょっと

まずいんじゃない??

即座に
「いいです!
 そちらの方がプロなので
 やってもらえますか?」
と答えた。

「いいですよ~」
と快くひきうけてくれた。

人によっては
自分のプライバシーを死守するために
検査技師がたとえ女性でも
ぜったいにやらせない人も結構いるらしい。

びっくりした。

そして、

再び
さっきのおばちゃんとおねえさんが
食い入るように
エコーの画面を見つめる。
あっちから
こっちからと
いろいろな角度で見ながら
「あぁ、これだね、 
 やっぱり聞いてみなきゃだめだね」
とよく分からない事を
話していた。

そして
おねえさんのほうが神妙な面持ちで
「私達じゃ判断できない事があるから
 ボスを呼んできてこの画像を見てもらうけど
 いいかしら?」
と聞いてきた。
よく見ると
おばさんのほうも
妙に暗い顔をしている。

そして、
この病院のレントゲン科(超音波はレントゲン科の中)で一番偉い人
といっても
ずいぶん若い男性だったが
入ってきて
私の超音波の画像を覗き込んだ。

このとき、
待合室で待っていた旦那も呼ばれて
一緒に入ってきた。
そのときの旦那の不安そうな顔が
忘れられない。

神妙な面持ちのおばちゃんやおねえさんとは対照的に
その偉い男性は
かなり事務的に

「心臓が動いてないね」

と言った。

「9週に入っていればもう心臓は形成されているはずなんだよね。
 残念だけど・・・」

「たまたま写っていないってことは無いんですか?」
と旦那。

「簡易の超音波だったらありえるけど
 ここまで精巧な機械で写っていないとなるとね・・・」

「残念だけど・・・」

そういって
偉い人は去っていった。

確かに悲しいけど
半分は諦めていたから
「あぁ、やっぱり」
という気持ちだった。

それでも
何処かで、
「やっぱり間違いなんじゃないの?」
という希望がかすかに残っていたのも事実。

つまり
私は混乱していたんだと思う。

その後
もう一度救急外来のほうに行って
医師と話をするように言われた。

その救急外来に向かいながら
なんか
足元がふわふわして
まるで
全てが夢の中の出来事で
朝起きたら、
「な~んだ夢だったのか」
といってそうな感じ。

それでも
一緒にいたリサが
「おなかすいた~」
「何か食べたい~」
「つかれた~」
と文句を言うたびに
あ、
これは現実だったと認識する。

そして
現実と気付くと涙がどっと溢れてくるが
すると
元の生活に戻るだけだよ
と自分を慰めるもう1人の自分が出てくる。

頭の中がグチャグチャでわけが分からない。

リサも疲れてきて
だんだん愚図ってきたが
むしろ
それが私の平常心を保ってくれたのが
なんとも皮肉だ。

昼間の救急外来も込んでいた。

昨夜と同じように
名前が呼ばれて中に入り
看護婦さんと話をする。

私のエコーの結果がこちらに送られているので
看護婦さんは
極めて同情的。

体温、血圧を測り
腹痛は無いか、
出血用のナプキンは必要でないか
聞いてくれて、
そして
「ソーシャルワーカーと話をする?」
と聞いてきた。

ソーシャルワーカーは
流産や死産、また
大病を患って大手術をした人などに対して
精神的ケアを行ってくれる人のこと。

そんなことは分かっていたのだが
混乱中の私。

「話をするって、流産の話をするんですか?」
と当たり前のことを聞き返し
そして、
ワッと泣き出してしまった。

なんでこの場面で泣くんだろうと
自分でも不思議だったが
冷静になろうと
あまりにも自分を押さえつけてしまっていたのかもしれない。

看護婦さんも
「I’m so sorry」
(この場合のソーリーはごめんなさいではなく、お気の毒でしたの意味)
といいながら
ティッシュを差し出してくれた。

「すみません、、、 
 ソーシャルワーカーと言われても、
 まだ、どうしていいか分からなくて・・・」

と言うと、

「そうよね、
 話し合える旦那さんや家族がいれば、それでいいと思うわ」

と看護婦さんの優しい口調。

「じゃ、この後医師のほうから話があるので、
 また待合室でまっててね。」
そういって、
泣きながら鼻をかみ続ける私の肩に
ポンと手を置いた。

私よりはるかに年下と見える
若い看護婦さんだったが
特別な事はしないまでも
私の状況を理解して
センシティブな対応をしてくれた事は
今でもすごく感謝している。

そして、
長い事待って、ようやく医師との話。

医師と言っても
あくまで
救急外来の医師。
産婦人科の医師ではない。

「今回の事は残念でしたね。 
 ところで、
 今後なんだけど、とりあえず
 この病院には産婦人科は無いので
 サウスポートの病院のEPACというところに行ってもらいます。
 あと、
 流産後の胎児を手術で出すか、自然に流れるのを待つか
 決めてもらわないといけません。
 そういったことも含めて
 EPACと相談してください。」

ゴールドコーストには公立病院が二つあり
ロビーナとサウスポート。
家からはサウスポートのほうが近いのだが、
救急外来がサウスポートより空いているという話を聞いて
ちょっと遠いロビーナまで行く事にした。
皮肉にも
そこには産婦人科は無いのだが
たとえ、産婦人科のあるサウスポートに行っても
同じ結果だっただろう。

そして、
EPACというのは
「Early Pregnancy Assessment Clinic」
と言って、
妊娠初期に起こる色々な問題に対処してくれるクリニックだそうだ。

そんな便利なクリニックがあるなんて
知らなかった。
知っていたらGPなんか行かずに
こちらに直接来れたのに。。。

さっきの看護婦さんとは違い
極めて事務的に話を終えた医師。
これ以上
ここにいる必要もなく
病院を後にした。

そして、

病院のドアを一歩出たとき、

目の前を女性が通りかかった。

その女性
私と旦那を見るなり
「あら~、どうしたの? 
 そういえば
 昇級テストに来てなかったけど、大丈夫???」

と言うではないか。

よく考えてみると
テコンドーの女性インストラクターだった。
(ちなみに彼女は黒帯2段)
違う道場で教えているので
習った事は無いが、
昇級テストでは顔を合わせていた。
でも
話をするのはこれが初めて。

なんて言っていいのか分からず
黙って立ちすくむ私に
彼女は
「大丈夫?」
と聞いてきた。

「あ、はい。。。
 実は妊娠をしていたんですけど
 あの昇級テストの日から出血が始まって
 今日流産だと分かったんです」

というなり
また
わーっと泣き出してしまった。

女性インストラクターがすかさず
ギュッとハグをしてくれる。

「I’m so sorry。 
 悲しいわよね。
 でも、こういうときこそ心を強く持って!
 頑張りなさい!!」

さすが、
黒帯2段は慰め方が力強い。

そして、

「ここの病院の対応はどうだった?
 嫌な思いしなかった?
 受付とか、看護婦とか大丈夫だった?」

と聞いてきた。
たぶん彼女は
ここの病院で働いている人なんだろう。

「幸い、みんな親切な人ばかりで
 助かりました」

「そう、それならよかった」

そして
ニックを見るなり

「ちゃんと奥さんを支えてあげなさいよ!」

と、
さすが
黒帯2段は旦那への励まし方も違う。

それじゃ、
といって分かれた後も、
旦那と二人でこの偶然にただただ驚くばかり。

「すごい偶然だよね~」
なんて普通に話しながら
なぜか突然悲しくなり
ダーッと涙が溢れてくる。

「おなか空いたね、何食べようか?」
なんて話していても
突然また悲しくなり
ダーッと涙が溢れてくる。

結局この日一日、
何をしていても、
普通にしていても、
突然ダーッっと涙が出てくる
その繰り返しだった。

感情がもはや
制御不能に陥っていた。

そして、
その夜
ミーナに流産の事を告げると
ミーナは、それこそ制御不能なほどに泣き喚いた。

でも、
子供達の手前
思う存分に泣き喚けない私の分も泣いてくれたようで
ミーナを慰めながら
平常心を取り戻しつつある自分を感じた。

大丈夫
大丈夫

悪い事の後には、必ず良い事が待っているから。。。

ようやく長い一日が終わった。


↓おつかれさま
にほんブログ村 海外生活ブログ オーストラリア情報へ












スポンサーサイト



2011.10.03 Mon l オーストラリアの医療 l コメント (16) トラックバック (0) l top